2019 年 9 月から京都掃除に学ぶ会 7 代目代表を拝命しました、時政和輝と申します。
若輩者ではありますが、どうぞよろしくお願い申し上げます。
京都での活動は、月に1回の例会、月に3回の京都新洗組(木屋町街頭清掃)を中心とし て、それぞれご縁のあった神社仏閣のトイレ掃除をさせていただいています。4月以降、新 型コロナウイルスの影響があり、様々な制限を強いられておりますが、その中でも掃除させ ていただけることに感謝し、できることをできる範囲でやって参りたいと思います。
今年5月に出版された阿部豊・講演録『ひたすら鍵山掃除道』に、田中義人顧問の序文が あります。そこに、阿部氏を仏弟子の周利槃特(シュリハンドク)のような人物だと評して おられますが、私はそこで初めて周利槃特のことを知りました。その後、ある仏教解説書を 読んでいる中で周利槃特のことを詳しく知り、感銘を受けました。その内容は以下のような ものです。
周利槃特は、お釈迦様の弟子の中でも一番頭の悪い方で、自分の名前も忘れてしまうとい うほどでした。
そこで、お釈迦様は彼のために、短い文章を暗記するように教えます。
「三業に悪を造らず、諸々の有情を傷めず、正念に空を観ずれば、無益の苦しみは免るべし」
しかし、周利槃特はなかなか覚えらず、自分の愚かさにすっかり落ち込んでしまいます。
「世尊よ、私はどうしてこんなに愚かな人間でございましょうか。私はもうとても仏弟子たることはできません」
すると、お釈迦様は言いました。
「愚者でありながら、自分が愚者たることを知らぬのが、ほんとうの愚者である。お前はチャンとおのれの愚者であることを知っている。だから、おまえは真の愚者ではない」
そして、お釈迦様は彼に一本の箒ほうきを与え、改めて次の一句を教えました。
「塵を払い、垢を除かん」
周利槃特はバカの一つ覚えのように、
「塵を払い、垢を除かん」
と唱え、掃除を徹底します。
長年月を経て、周りから愚者と冷笑された周利槃特は、ついに煩悩の塵埃をスッカリ掃 除することができ、
「神通説法第一の阿羅漢」 と称されるまでになったのです。
釈尊は大衆を前にして言いました。
「悟りを開くということは、決してたくさんのことを覚えることではない。たといわずかな ことでも、小さな一つのことでも、それに徹底しさえすればよいのである。見よ、周利槃特 は、箒で掃除することに徹底して、ついに悟りを開いたではないか」
私もできるならば、周利槃特のように掃除に徹底し、少しでも自分の心にある塵埃を払い清めていきたいと思いました。
京都の掃除に学ぶ会には、老若男女、経歴も様々な個性豊かな人たちが集まっております。
みなさんの衆知を集めながら、ますます鍵山掃除道のご縁が広がっていけるように、努力精 進していきたいと思います。未熟者ではありますが、お導きのほど宜しくお願い申し上げま す。
令和2年9月吉日
京都掃除に学ぶ会 代表
時政 和輝